2018年01月21日

カバが他種の動物-ワイルドビーストやシマウマの命を救ったと言うけれど・・・


2017年8月にこんなニュースが流れました。


【映像】ヌーを襲うワニを襲ったカバ 大自然の出来事 南ア(AFLO)

上のニュースでも紹介されている
この映像、カバがワニに襲われたワイルドビースト(ヌー、あるいはウシカモシカなどとも呼ばれる)の命を救ったということで、世界的に話題になった映像です。
animal_hippo[1]


ガッハッハ






ですが、この映像を提供されYouTubeに投稿している南アフリカ・クルーガー国立公園の関係者は、カバはワイルドビーストを助けたのではなく、縄張りに入ってきたこの個体を追い出したのではないかと、言ってます。

ところで、カバがワニに襲われた動物を救ったとか、今にもおぼれそうに泳いでいるシマウマの子どもを助けようとしていた、などという映像がYouTubeに散見されます。

しかし、各映像に映された結末からは、なんとも言えない、というのが現時点ではいちばん公平な結論だと思います。


ですが、その上で、さらにもう一歩進んで私自身の感想はと言えば、これらの現象は、カバが他種の動物を助けようとしているのではなく、彼らを食物として得ようとしたものの成功しなかった例ではないかと、私には思えます。


かつてとは違い、現在では、野生のカバは、攻撃的で気性の荒い、植物だけでなく動物の肉も食べる雑食性の大型哺乳類と見なされています。

カバは、機会があれば、川に浮かぶ死体、ワニに襲われ殺された動物、陸上の捕食者に追われて水場に逃げ込んだ獲物の動物、陸上に横たわる死体、などを食べています。

しかし、生きた獲物に襲いかかったり、死体の肉を食べたりしている映像を見てみると、頭部(口)や歯の構造から、ライオンやオオカミなどの肉食獣のように、口を使って獲物を捕まえて殺し、その肉を鋭い歯で引き裂いて食べる、というのは苦手なようです。


そういうことを踏まえて、「他の動物を助けるカバ」の映像を見ていると、これは、食料調達に失敗したカバの姿を見ているのではないのか、と思えてくるのです。


ここでは、「他の動物を助けるカバ」の例として出されることも多い、比較的典型的な3つの映像を貼り付けておきます。

1番目のは、カバがシマウマの子を助けた、と言いたくなる気持ちも分かる映像です。でも私には、シマウマの子を捕らえたいのに捕らえられなかったようにしか見えないのですが・・・

2番目のは、冒頭で紹介したのと同じ映像。しかし私にはワニに襲われ弱ってきたワイルドビーストに襲い掛かるも、逃げられてしまったとしか思えないのですが・・・

3番目のは、ワニに捕まったシマウマの周りに集まって来たカバの映像。ちょっと長めの映像(15:12)です。
よく見ていると、カバたちが、今にもワニに殺されそうなシマウマに近づきます。カバの接近により、このシマウマ、結果的に、ワニの餌食にならずにすみました。しかし、映像11分ごろからは、シマウマに襲いかかるようなカバが見られます。私には、カバとしてはもう少しのところで獲物に逃げられてしまった、としか思えないのですが・・・


というわけで、下記の映像を見て、皆さんはどう思われますでしょうか?


[映像1]カバと、苦しそうに川を泳ぐシマウマの子です


[映像2]カバと、ワニに捕まったワイルドビーストです。


写りは良くないですが、アンテロープに対しても似た映像記録があります。

[映像3]カバと、ワニに捕まったシマウマです。

(すべてYouTubeより)

結論:事実解明のために、さらなる映像記録の集積が待たれます。


関連記事:
カバの肉食 (5)陸上でバッファローの死体を食べるカバ

カバの肉食 (4)水に入って来た大きなワイルドビーストに襲いかかるカバ

カバの肉食 (3)捕食者に追われ河に逃れたインパラをカバが襲う

カバの肉食 (2)クロコダイルに殺されたシマウマを食うカバ

カバの肉食 (1)死んで水に浮かぶカバの肉を食うカバ

(本記事は、私の別ブログの記事
[ 「他の動物を助けるカバ」の話は本当にそうなの? ] から、その題と内容を一部改変して転載したものです。)


カバのこども: サバンナを生きる

ガブリエラ シュテープラー
徳間書店
2017-03-11




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